好きになった人、愛した人。
「矢原、今幸せなんだね」


「あぁ。おかげさまで」


奈生は、どうだろうか。


不安で一杯で、また泣いているんじゃないだろうか。


幸せの対極にいるような奈生の姿が浮かんできて、あたしはすぐにその考えをかき消した。


大丈夫。


奈生を信じるって決めたんだから。


そんなあたしに矢原がまた口を開いた。


「それからさ、俺、やっぱり家族でちゃんと話そうと思う」
< 296 / 395 >

この作品をシェア

pagetop