好きになった人、愛した人。
「今話さなきゃ、俺の気持ちがしぼんでくっていうか。また、本音を言わずに終わりそうな気がするから」


「だから、早いほうがいいんだね」


「あぁ」


「矢原も、頑張ってね」


T字路にさしかかり、あたしは立ち止まった。


ココから先は帰る場所が違うから。


「サンキュ」


「じゃぁね、バイバイ」


手をふり、それぞれの道を歩いていく。


それは途中まで同じ気持ちを抱いていて、それでも別々の道を選んだあたしたちのようだった。
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