好きになった人、愛した人。
《兄貴の夢を壊したのに、自分の夢を追っちゃダメだってずっと思ってたけど……。違った。俺は俺の夢を叶えることで、家族に恩返しができるんだって、わかった。


「そっか。奈生の夢って、やっぱり絵を描くこと?」


《あぁ。画家になりたい。風景画を中心にいろいろな絵を描きたい。想像じゃなくて、ちゃんと現地に足を運んで描いてみたい》


それが、奈生の夢……。


ずっと、ベッドの上から動けないままだった、奈生の夢なんだ。


「その夢、叶えようね」


《あぁ。きっと、な》


「あたしも、自分の夢叶えるから」
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