好きになった人、愛した人。
「そんな事言わないで」


「俺はっ! 綺麗ごとばっか言って近づいてこられるのが一番嫌いなんだよ!!」


ベッドを殴りつけ、奈生が鋭い目を向ける。


あたしは何も言えず、ただその傷ついた目を受け止めるだけだった。


今までに何度も期待し、裏切られてきた。


そんな過去が見え隠れする。


「同情なんて、もういらねぇんだよ」


そう言い、奈生はあたしの手首を掴みグイッと引いた。


突然縮まる2人の距離。


そして、触れ合う唇。
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