好きになった人、愛した人。
俄然やる気が出てきたあたしは、家への道のりが早足になる。


まだ掴んでいないものをこの手で掴みたい。


未来への希望がキラキラと胸の中で輝きはじめる。


《あぁ。俺も、そう信じてる》


「奈生、大好きよ!」


すぼめていた首をしゃんと立てて、星に向けてそう言った。


きっと、病室の窓からも同じ星が見えているから。


《残念ながら、俺は違うな》


「え?」

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