好きになった人、愛した人。
膨れ上がった気持ちが一気にしぼんでいくように感じる。


『俺は違う』って、奈生、今そう言った?


《いいかよく聞けチハヤ》


嫌な予感が胸をよぎる。


まさか、ここまで来て別れるなんて言われないよね?


やっぱり無理だとか、否定的なことを言われるんじゃないだろうか。


けれど、その気持ちは鳥越苦労に終わった。


次の瞬間耳をくすぐった奈生の言葉にあたしは一気に赤面しそして嬉しさから笑みがこぼれた。


《だから、ちゃんと待ってろよ》


奈生も恥ずかしいのか、いつもより早口だ。
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