好きになった人、愛した人。
「うん。待ってる」


《じゃぁ、またな》


「うん」


そして切れた電話。


あたしは携帯電話を握りしめて、緩む頬をキュッと引き締めた。


『俺の気持ちは、もう愛だ』


奈生のさっきの言葉が、脳内で繰り返される。


「あたしも、もう愛だよ……」


小さく呟き玄関をあけた……。
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