好きになった人、愛した人。
いつもよりぎこちない挨拶をすると、「緊張するよね」と、仲間の1人につつかれた。


「そうだね」



ここから自分の夢が動き出すかもしれないと思うと、ざわざわと野心が騒いだ。


今こうしている瞬間は仲間でも、会場につけば敵になる。


それを忘れちゃいけないんだ。


誰にも惑わされないように、自分をしっかりと持っていなければならない。


「全員集まったわね。じゃぁ車に乗って」


大学側が用意してくれた小さなバスに乗り込むと、車特有のにおいがした。

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