好きになった人、愛した人。
テレビでも、半年間の海外留学の話は大々的に取り上げられていたはずだ。


「出発は?」


あたしの隣に座っていた太一が聞く。


「……一週間後」


そう伝えると、あたし以外のみんなが一瞬息をのんだのがわかった。


あたしも、この話を聞いたときには驚いた。


あまりにも、予定が急すぎたから。


でも、海外でお世話になるパティシエの方はコンテスト前から受け入れの準備を済ませてくれていたらしく、あまり待たせるのは申し訳ないということだった。
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