好きになった人、愛した人。
一瞬にして、叔母さんの興味はあたしから叔父さんへと変わる。


「あぁ。試作品は完成だ。ビールをくれ」


叔父さんは1つの山を越えたように清清しい表情をしていた。


叔母さんはそそくさと立ち上がり、冷蔵庫からビールを2本とコップを2つ取り出した。


普段は飲まない叔母さんも、叔父さんが飲むときには一緒に、少しだけ飲むのだ。


「今度は、どんな商品なの?」


「片手で野菜が切れる道具だよ。野菜を固定して目盛りをあわせると、そのサイズで均等に切れる」


「あら、便利!」
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