好きになった人、愛した人。
「痛っ」


と、小さく言うと、「大丈夫か?」と、すぐに奈生がしゃがみ込んできた。


「足首、ひねったな」


「奈生があたしをからかうから」


「悪かったよ」


頬を膨らませていると、奈生があたしをお姫様だっこで抱き上げた。


この年齢になって、まさかこんなことをされるなんて思ってもいなかったあたしは、「下ろしてっ!」と、必死で抵抗する。


「ジタバタすんなよ。落とすだろ?」
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