好きになった人、愛した人。
あたしは整理整頓されている部屋の中を見回す。


白を基調とした家具に、ブルーのベッドシーツ。


壁には誰かが描いた風景画が何枚かはられていた。


やっぱり、奈生は絵が大好きなんだ。


年頃の男の子なら、女優やアイドルのポスターが貼ってあったりしてもいいと思ったから。


「おまたせ。痛む?」


しゃがみ込んであたしの足首に氷水を当ててくれる奈生。


その手があたしの足に触れた瞬間、思わず「ひゃっ」と、過敏に反応してしまった。
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