好きになった人、愛した人。
☆☆☆

その日の夜。


車内の二段ベッドの上に寝ていた奈生に、ポケットにいれていた名刺を取り出して見せた。


「教会?」


怪訝そうな表情でつぶやく奈生。


「昼間、お客さんにもらったの。よければ、今夜教会にきてみないかって」


「なにがあるんだ?」


「さぁ、わかんないけど……」


「ほっとけよ、勧誘とかかもしれないし」


そう言って、興味なさそうに名刺を返してくる奈生。
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