好きになった人、愛した人。
ふたりして棒立ちになっていると、通路の前から黒い服をきた神父がやってきた。


昼間のあの男性だ。


「驚かせてしまってすみません」


「あの、これは一体どういうことですか?」


「実はわたくし、奈生さんとチハヤさんのご両親から今日のお願いごとをされていました。昼間お店にお伺いしたのも、偶然ではなく、おふたりの居場所を探しておりました」


にこにこと微笑みながらそう説明する神父。


「お願い事って……」


「おふたりの結婚式を、です」


まさか!?


あたしと奈生は目を見かわせる。
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