好きになった人、愛した人。
でも。ここに全員集まっていることを考えると、それは自然なことだった。


神父は小さな声で

「みなさん、おふたりのことをとても心配されていましたよ」

と、言った。


その瞬間、ジンッと目の奥が熱をおびた。


それと同時に、自分たちが決めたことで心配させてしまったことを、悪く感じた。


「伯父さんは……」


一番、あたしの結婚を心配しそうな、伯父さんのことが気になった。


「チハヤ、行こう」


奈生はあたしの手を握りカーペットの上を歩きだした。


そして、長椅子の最前列に座っている伯父さんの前で立ち止まった。
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