好きになった人、愛した人。
新しい求人情報誌を買いに行こうか?


でも、本を買うにはお金がいるし……。


月1回のお小遣い、1万円で生活する日々。


叔父さん叔母さんは優しくて、お小遣いが足りないのなら追加で出してくれるのはわかっていた。
けれど、大学進学までさせてくれた2人にこれ以上の負担はかけられないと思っている。


「どっかからバイトが降ってこないかな」


なんてバカなことを呟いた時、見慣れた運動靴が広告に視線を落とすあたしの視界に入りこんできた。


驚き、顔をあげる。


「なに? チハヤ、バイト探してんの?」


あたしを呼ぶ懐かしいその人物は、運動靴とスーツというアンバランスな格好でそこに立っていた。
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