好きになった人、愛した人。
「ちょっと自信過剰なのが玉に傷ね」


そう言ってやると、奈生は少し頬を膨らませ


「今まで近づいてくる女って大抵そうだったんだよ。

看護師とかさ、俺にはすげぇ優しいんだ。

でも、いつもどっかよそよそしくて、それで気づいた。


あぁ、俺がいつ死ぬかわからないからだ。

だから、優しくても少し距離をとってるんだって」


あぁ。


だからか。


奈生が自分から嫌われるような行動をとっているのは。


「言っとくけど、あたしは奈生にこびる気ないよ」


呼び捨てにされて、奈生が一瞬眉間にシワを寄せた。
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