好きになった人、愛した人。
言葉を濁して言うと、ヒナタはあたしの隣に座りながら

「また、太一さんのこと?」

と、聞いてきた。


親友であるヒナタには、ずっと昔から太一の事を相談してきていた。


心許せる数少ない友達の1人だ。


「そう。バイトが終わって帰ったとき、ちょうどトイレに下りてきてて……太一の顔、久しぶりに見た」


「なんか、言われた?」


「うん……。でも、それは大したことじゃないの。


でも、あたしがあの家で暮らし始めてからどんどん変わっていくから、それを見るのが、辛くて」
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