好きになった人、愛した人。
そう言って、あたしは立ち上がって奈生の絵を眺めた。


赤い顔と、ときめきが奈生にバレないように背を向けて。


絵の左下に描かれた《nao》の文字に視線を移す。


そして、ふと思った。


もしかして、奈生は美術の勉強をしたいんじゃないだろうかと……。
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