好きになった人、愛した人。
そして、玄関まで出ると2階から叔母さんの声が聞こえてきた。


「それでね、哲司さんの新しい商品が完成したのよ」


叔母さんは、時間があるときは家の中の出来事や近所の出来事を太一に話してきかせる。


もちろん部屋には入れてもらえないから、ドアの前に座った状態だけど。


あたしは、それを聞きながら軽く目を伏せた。


叔母さんは、なんでもかんでも太一に話す。


きっと、あたしがバイトを始めたことも、講義で褒められたことも、全部話してしまうだろう。
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