好きになった人、愛した人。
「夢を絶たれた俺は、悲劇的要素には掛ける?」


あ……。


悲しい瞳が、あたしを捉えた。


バカだ、あたし。


矢原だって1つの大きな傷を抱えていたのに。


能天気で、何も気にしていないような態度に、すっかり忘れていたなんて。


「矢原、ごめん」


「お前には、弟の存在を知ってて欲しかった。だから家庭教師を頼んだんだ」


「え?」

< 77 / 395 >

この作品をシェア

pagetop