好きになった人、愛した人。
「でも……」


矢原の手が、スッとどけられる。


「お前も、奈生を選ぶんだな」


伝票を持って立ち上がる矢原。


「矢原っ!」


「俺は大丈夫だから、引き続きカテキョよろしく」


ヘラッと笑って、いつものように足を少し引きずりながら、矢原はファミレスを出て行ってしまった……。
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