好きになった人、愛した人。
冷たい声で、頭を殴られたようだった。


「え?」


「金、あんだろ」


「……ないよ。まだ、バイト代出てないもん」


嘘はついてない。


財布の中にあるのは、叔父さんに貰った大切なお小遣いだ。


「出せよ、金!!」


握られたバッグを引っ張られて、体制が崩れる。


「やめてよ!」
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