好きになった人、愛した人。
太一はオレンジ色の財布を手に取り、中身のお札を抜き取った。
呆然として立ちすくむあたしに、太一は殻になった財布を投げ返した。
財布はトンッとあたしの腕に当たり、そのまま音も立てずに落ちた。
後ろで、太一がリビングを出る音がする。
やがて階段を上り、ドアを閉める音。
その音と同時に、あたしはその場へ膝をついた。
涙は出ない。
呆然として立ちすくむあたしに、太一は殻になった財布を投げ返した。
財布はトンッとあたしの腕に当たり、そのまま音も立てずに落ちた。
後ろで、太一がリビングを出る音がする。
やがて階段を上り、ドアを閉める音。
その音と同時に、あたしはその場へ膝をついた。
涙は出ない。