不機嫌な果実
分からないからこうやって、

悩んでいるって言うのに・・・

「じゃあ、何で?」

「…教えな~い」

「…淳史」

・・・

おちゃらける淳史を睨んだ。

でも淳史は相変わらず、何とも思わないようで。

オレは深く溜息をつく。

・・・

「そんな事は自分で考えろよ?

そのうち、いや、近いうちに、その理由が分かるだろ」


「・・・簡単に言うな」


「簡単だよ、恋愛下手の凌也君」


「・・・」

恋愛下手?

何でこのイライラとそれがくっつくんだ?

・・・訳分かんねえ。

・・・窓の外に目を向けると、

向かいの校舎が目に入った。

その校舎の中には、笑顔の桃子がいた。

オレの前で、笑わなくなったよな。

それは全部、オレのせいなんだろうけど。
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