不機嫌な果実
ぁ、恭治。

オレが、

桃子にこんな態度を取り始めたのは、

恭治が桃子の傍にいるようになってからだ。

それまではごく普通に、

仲のいいお隣さんで、桃子の事が、好きだった。

・・・

そんな俺達の間に、

突然入り込んできた恭治。

桃子は何も変わらなかったけど、

恭治と仲良く話してるのがとにかく嫌だった。

・・・

そんな思いが募ってきたから、

オレは変わり始めた。

ウザイ、目障り・・桃子が嫌いな言葉を、

言うようになったのは。

桃子はそれでも変わらずオレに接してくれてたのに、

そんな桃子を跳ね除けたのは俺自身。

・・・

今更後悔しても、

もう前のようには戻れない。

そう思うと、胸の奥がギュッと

押しつぶされそうになった。
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