不機嫌な果実
もう、私に話しかけないでって、

言われたせいか?

・・・

「オレ、桃子ちゃんの事好きなんだ」

「…ゴメン、私、誰とも付き合う気なくて」


「好きな奴でもいるの?」

「…そう言うわけじゃないんだけど」


「…じゃあ、お試しでもいいから、

オレと付き合ってくれない?」

「・・・でも」

・・・

しつこい野郎だ・・・

断ってんだから、さっさと諦めろって。

そんなことを思いながら、溜息をつく。

・・・

「頼むって」

「…ダメだよ…キャッ」

?!!

ガシャンと言う音と共に、

桃子の悲鳴が聞こえた。

ヤバいと思った時にはもう、

勝手に体が動いていた。

ドサッ・・・

男の制服をわしづかみして、

桃子から引きはがした。

力が強すぎたのか、男はよろけてその場に、

倒れこんだ。
< 35 / 90 >

この作品をシェア

pagetop