不機嫌な果実
そう言って少し残念そうな顔をした桃子。

・・・

「…冗談だよ。

似合ってるよ」

・・・

そんな顔をされると、

ダメだって言えなくなる。

・・・

周りの男どもが気になるが、

オレがちゃんと傍にいれば、

何の問題もないだろう。

そう軽く考えていた。

『可愛い』


『ミニのスカート、たまんねえ』

・・・。

男たちの言葉に、

イライラが募る、

見てんじゃねえよ!と叫びたくなる。

でも、それを何とか抑え、

オレは桃子の手を取った。


「どうしたの?」

「人が多すぎるから」

と、当たり障りのない言葉を発する。


「凌也は、優しいね?

ありがと、凌也」

「・・・別に」
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