不機嫌な果実
オレは焦って桃子を抱き寄せた。
「凌・・也?」
少し震えた声で、桃子がオレを呼ぶ。
…きっと今のオレは、誰が見ても驚くくらい、
顔は真っ赤に違いない。だから・・・
「黙って泣いてろ」
「・・・」
ギュッと、桃子をオレの胸にきつく抱きしめた。
…それからどれくらい経ったのか?
桃子の泣き声はいつの間にか止み、2人の息遣いだけが
暗闇に響いた。
「凌也…離して?」
桃子のくぐもった声が聞こえて、そっと桃子から力を抜く。
落ち着いたせいか、顔が熱いのは、止まっていた。
「・・・泣き虫」
つい、憎まれ口を叩いてしまった。
・・・でも。
「慰めてくれてありがとうね?・・・凌也が彼氏なら、
きっとすごく大切にしてくれるんだろうね」
そう言って微笑むと、クルリと体を反転させ、
桃子は家に向かって歩き出した。
「いつでも彼氏になってやるよ」
小さな声で呟いた。
「・・・え?」
オレの声だけが聞こえたらしく振り返り、聞き返す桃子。
「何でもねえ」
それだけ言ってはぐらかせて、オレは桃子を追い抜いた。
「凌・・也?」
少し震えた声で、桃子がオレを呼ぶ。
…きっと今のオレは、誰が見ても驚くくらい、
顔は真っ赤に違いない。だから・・・
「黙って泣いてろ」
「・・・」
ギュッと、桃子をオレの胸にきつく抱きしめた。
…それからどれくらい経ったのか?
桃子の泣き声はいつの間にか止み、2人の息遣いだけが
暗闇に響いた。
「凌也…離して?」
桃子のくぐもった声が聞こえて、そっと桃子から力を抜く。
落ち着いたせいか、顔が熱いのは、止まっていた。
「・・・泣き虫」
つい、憎まれ口を叩いてしまった。
・・・でも。
「慰めてくれてありがとうね?・・・凌也が彼氏なら、
きっとすごく大切にしてくれるんだろうね」
そう言って微笑むと、クルリと体を反転させ、
桃子は家に向かって歩き出した。
「いつでも彼氏になってやるよ」
小さな声で呟いた。
「・・・え?」
オレの声だけが聞こえたらしく振り返り、聞き返す桃子。
「何でもねえ」
それだけ言ってはぐらかせて、オレは桃子を追い抜いた。