不機嫌な果実
「あ、待ってよ凌也」

桃子は急いでオレに追いつくと、突然手を繋いできた。

スッゲ―驚いたのに、そんな顔はせず、

無表情に、問いかけた。


「・・・何、この手?」

「…笑わない?」


「・・・うん」

「実は私、夜こうやって外に出るの初めてで・・・

怖いの・・・」


「・・・プ」

「あ~笑ったな?!笑わないって言ったのに!」


「オレより年上のくせに、怖いとか」

「もう、いいよ、手、離して」

「イヤだ」

…本当は、そんな所が可愛いと思う。

…本当は、肩を抱いてやりたいと思う。


でも、想いと行動は、比例しない。


そんな自分がもどかしかった。
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