不機嫌な果実
今日は、恭治は私の傍にいる事はなかった。

私は、久しぶりに女友達と、共に過ごす。


「桃子とこうやってずっと一緒にいられるのって久しぶり~」

そう言って私の腕に、自分の腕を絡めてきたのは。


「ゴメンね、雅(みやび)いっつも私の事心配して、

一緒にいてくれるのに…」

そう、この高校で出会った親友、鈴木雅。

ショートカットに、ちょっぴり茶髪、運動神経抜群な、

陸上部のキャプテン。


「桃子が謝る事無いんだよ!

悪いのは恭治だし!私と一緒にいるの知ってて、

横取りしていくアイツが悪い!…でも、今日は恭治どうしたの?」


・・・そうだよね、いつも私の傍にいた恭治が、

今日は全然傍にいる事もなく、喋りかける事すらない。

雅が不思議がるのも当然だった。


私は今までの経緯を雅に話した。

恭治が私の事を好きだったこと。

凌也と仲直り出来て、また話をするようになった事。

恭治に、自分か凌也、どちらかを選べと言われた事。


雅は黙って、最後まで話しを聞いてくれた。
< 58 / 90 >

この作品をシェア

pagetop