不機嫌な果実
「お子ちゃまだね~、桃子は」

雅はそう言って笑う。


「しょうがないじゃない、小さい時から、男子に苛められてたら、

そう言う感じになっちゃったんだもん」


「…そうなの?でもさ、恭治は、大丈夫みたいだね?」

「…ぁ」

・・・そうだ、言われてみれば。

恭治は最初から嫌悪感を感じたことはなかった。

いつも優しくて、私の事心配してくれて、

隣にいても、全然気にならなかった。


「恭治も、凌也も、最強のライバルだね」

「最強って・・・」



「だってそうじゃない。桃子が気を許せるのは、この世の中に、

恭治と凌也の二人しかいないんだよ?

私からすれば、羨ましい限りだけど…さわやかイケメンに、

ツンデレイケメン・・・それを手玉に取る美人で有名な桃子。

いいな~コノコノ!」

そう言って私の肩を突く雅。


「もう・・・私で遊ばないでよ」

私は困ったように溜息をつくと、雅に抱きついた。
< 60 / 90 >

この作品をシェア

pagetop