不機嫌な果実
「私らも、のんびり恋愛してる場合じゃなくなったしね。

もう少ししたら、受験生だし?桃子は大学行くんでしょ?」


「うん、やりたい事の為には、大学に行かなきゃいけないし」


「ま、桃子は頭いいから、心配ないか?」

「そんな事ないよ・・・今受験勉強で必至だし」


「じゃあとりあえず、受験が終わるまでは、保留にしてもらえば?

そんなに焦って答えを出しても、後で後悔しそうだし」


「…保留にしてもらえるかな?」

「してくれるって、恭治だって、サッカーで、

どっかのクラブチームに入れるかどうかの瀬戸際だって言ってたよ」


「エ、そうなの?!」

・・・知らなかった。恭治がサッカーが上手い事は知ってたけど、

まさか、クラブチームに・・・


「2チームから声がかかってるらしいんだけど、困ってるって、サッカーの顧問が

言ってるのを、たまたま聞いちゃってさ・・・」


「・・・それじゃあ、私の事なんて考えてる余裕なんてないじゃない」

将来がかかってるっていうのに・・・


「凌也も、まだ2年だけどさ、将来美容師になる為に、

休みの日とか、放課後とか、知り合いに頼み込んで、

美容室で修業中らしいよ」


「・・・うそ?!」

・・・なんて情報通なの、雅。
< 61 / 90 >

この作品をシェア

pagetop