不機嫌な果実
【凌也side】

何で、こんな所で、キスなんかされてんだよ。

目の前の光景に、苛立ち、頭に血が上った。


恭治が、桃子の頬にキスしてる瞬間に出くわすとは、

最低最悪。

オレはずかずかと、放心状態の桃子に近寄り、

手首をギュッと掴んだ。

突然の事に、桃子は驚き体をビクつかせ、振り返った。


「・・・凌也、何でここに」

「…帰り道だから」

「・・・・」


「スッゲ―腹立つ」

「?!」

オレは桃子の手を握ったまま、桃子の家を通り過ぎ、

自分の家に、桃子を連れ込んだ。


「あら、桃子ちゃん、久しぶり」

玄関の所に、これまた目障りな母親が一人。


「上がってくんな」

それだけ言って、桃子を部屋に連行する。


「お、お邪魔します」

母親に首だけ振り返って桃子は軽く会釈した。

「ごゆっくり♥」

・・・やっぱり目障りな母親だ。
< 66 / 90 >

この作品をシェア

pagetop