不機嫌な果実

「凌也、私に何の用？」

少し怯えた瞳でオレに問いかけた桃子。


「・・・何で、あんなところでキスなんかされてんだよ？」

目線は逸らしたまま、桃子に言う。


「…あれは、恭治が勝手に」
「彼氏になったんだ？」


「違う！恭治は・・・りょ？！」

説明なんて冷静に聞ける状態じゃなかった。


恭治はオレにとって、天敵だ。ライバルなんて聞こえの良い

相手じゃない。


オレは桃子を抱き寄せ、無理やり唇を奪った。

「やめ・・て、りょう・・や」

声にならない声を発しながら、いつの間にか、

桃子の目から涙がこぼれていた。


それを見て、やっと冷静な自分に戻った。

泣いてしまった桃子を、ギュッと抱きしめる。

「何で・・・こんな事・・」

泣きながら、桃子は呟いた。


「桃子は、…オレのだから」

「意味・・・わかんない・・・よ」

・・・言うしかないと思った。

拒否されるのを覚悟で。


「桃子が好きだ、スッゲ―好きなんだ」