7分の1のスキ。

ちづるside


2人で並んで歩いて、もうすぐうちの近くのスーパーの前を通る。


「ん?」



隣で歩く三木くんが、ポケットを見ながら小さく呟いた。


「…なに?」


「いや……バイト先から電話」



ポケットからケータイを取り出して画面を見る三木くん。


三木くん、バイトしてるんだ……



「…ちょっとごめん。」

そう言われて止まる二つの背中。



あたしは雨を眺めながら三木くんの電話が終わるのを待つ。


「……はい。………え?来週っすか、いーですよ……………ちょっ、店長すとっぷ!…メモとるんでっ」



なにやらご乱心の様子。

急に焦り出した三木くんが、カバンからノートとボールペンを取り出す。

取り出したノートなら小さく
『数学』
と、見えた。



…数学ノート=メモ帳なのね……


そんな事を考えて苦笑してるあたしに、三木くんがケータイから顔を背けて



「ちょっと、上原。カサ持って」


と、差し出されるカサ。



まぁ、さすがに傘持ちながら、メモなんてとれないよね…



< 32 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop