7分の1のスキ。
ちづるside
2人で並んで歩いて、もうすぐうちの近くのスーパーの前を通る。
「ん?」
隣で歩く三木くんが、ポケットを見ながら小さく呟いた。
「…なに?」
「いや……バイト先から電話」
ポケットからケータイを取り出して画面を見る三木くん。
三木くん、バイトしてるんだ……
「…ちょっとごめん。」
そう言われて止まる二つの背中。
あたしは雨を眺めながら三木くんの電話が終わるのを待つ。
「……はい。………え?来週っすか、いーですよ……………ちょっ、店長すとっぷ!…メモとるんでっ」
なにやらご乱心の様子。
急に焦り出した三木くんが、カバンからノートとボールペンを取り出す。
取り出したノートなら小さく
『数学』
と、見えた。
…数学ノート=メモ帳なのね……
そんな事を考えて苦笑してるあたしに、三木くんがケータイから顔を背けて
「ちょっと、上原。カサ持って」
と、差し出されるカサ。
まぁ、さすがに傘持ちながら、メモなんてとれないよね…