空が泣いた。



「あ。永井先輩だっ!!かっこいいなー」


「え。どこ??」


「ほら、今ボール持ってる人!!」



なっちゃんが指差す方には、

敵をかわしながらゴールに向かうカッコいい人。



「あの人が永井先輩・・・」



ガコンという音が体育館に響き、

ボールがゴールに吸い込まる。



「綺麗なシュート・・・」


「ね?カッコいいでしょ??」


「うん、すごいね」



先輩を見ながら感動していると、目が合った。

すると、ニコッと笑う先輩。



「あっ。今こっち向いて笑ってくれたよ、花!!」


「う、うん。目が合っちゃった・・・」


「えっ!!ってことは花に向けて笑ったってことかな」


「た、たぶん違うよ。私、初めて先輩みたんだもん」


「そうかなー??花が可愛いから笑ったんじゃないのー?」


「に、にやにやしながら言わないでよ!!」



本当に先輩とは何も関わりがない。

今日、なっちゃんに言われるまで、存在すらわからなかった。

そんな私に向かって笑うわけがないもん。



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