空色の恋
その日だけでも
移動教室とか通学路とか部活とか
龍輝とすれ違うことはしょっちゅうだった
でもお互い一切声をかけなかった
崩れてしまった関係
元には戻らない
龍輝と沙織先輩が二人で笑顔でしゃべってるとなんだかほっとした
あたしにはむけられない笑顔
奪ってはいなかったから
翌日
「柊!」
誰かに呼ばれて振り向く
男バスで龍輝と同じクラスの崚介(りょうすけ)くんだった
「これ
龍輝に頼まれた」
渡されたのは古典のノート
その時間はサボったんだよな
「ありがとう」
「俺は先輩より柊の方がいいと思うけどね」
「何それ
慰めになってないんだけど?」
二人で笑う
「じゃあありがとね」
「おう」