空色の恋





「あたしの名前ってさ

澄み渡った空って書いてそらって読むでしょ?


そんな空みたいに澄んだ心を持って欲しい

空のようにどこからでもみんなを見て

困っている人がいたら助ける

泣いてる人がいたら声をかける

笑ってたら一緒に笑う


そういう子に育つようにって意味なんだって」



何が言いたいんだろう



「でも

本当のあたしはそんなにいい人じゃない

澄んだ心を作ることに必死で

それを演じるのに必死なの


今のあたしじゃ篠原を助けるどころか苦しめちゃうかもしれない


それでも逃げていい?」



柊ちゃんの瞳が俺をまっすぐ見つめる





「それでもいい」



ひどい女だって思う奴もいるだろう

そんな女にって思う奴もいるだろう



でも俺は思ったんだ


これ以上柊ちゃんが苦しまなくて済むなら

柊ちゃんに少しでも自分自身でいられる場所が作れるなら


俺はそれを守りたいって








< 56 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop