嗚呼、愛しの姫君
「シオン=テイルよ。…手を出すが良い。」


私はおっしゃる通りに手を出しました。すると、カサカサ…という音と共に私の手の上にゴキブリ…いえ、姫君が乗って来られました。


「………。」


王様には口が避けても申し上げられませんが、

実は私は、

虫(特にゴキブリやムカデ)に触れると3回に1回はじんましんを出して気を失ってしまうほど、

虫が苦手なのです。


私は、その場で姫君を手に乗せたまま凍りつきました。
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