嗚呼、愛しの姫君
「…シオンよ、まぁ堅くならずとも良い。我が娘も、そうして触れておれば弱る事もない。」


王様は凍りつく私をポジティブに解釈して下さいました。
そして、両手を私の肩に置かれました。


「…どうか、娘を頼む。タートスの邪悪な呪いから解き放ってやってくれ!」


そうやって真剣に私を見つめる王様の眼は父親の眼でした。


私はその瞬間強い使命感を感じ、手の上にいらっしゃる姫君を一瞬忘れ、思わず敬礼してしまいました。
私が気づいた時、姫君は絶妙なバランスで手の甲にくっついておられました。
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