嗚呼、愛しの姫君
その時、タートスが初めて口を開きました。

「…何か、ご用かな?シルティアの騎士よ。」

「私がシルティアの騎士とご存知ならば、目的もご存知でしょう?」

「…姫の事かね?」

タートスはちらりと私の手の甲にいらっしゃる姫を見ました。

「…姫を元に戻すのは、出来ん相談じゃ。儂はシルティアの国が憎い。本当であれば滅ぼしたいくらいに…な。」

タートスの眼は、暗く光っていました。
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