可愛い奴めっ!
かんたんには、かなわない。
明日、あなたに会いに行きます。
きっと、、、ずっと、、、絶対に。
「うんうん。今日も完璧!」
朝、もう殆んどの準備を終えて、鏡の前に立つ。
いつも通りの制服を身にまとい、朝の日課としているおまじないをする。
「私は可愛い。私は可愛い。私は可愛い!!!」
目を強く瞑って早口でそう言うとバッと目を開く。
「よし!今日もあの人のためにがんばるぞーーーーー!!」
私は、家を出た。
今の時季は、夏。
最近は、蒸し暑い日が続いている。
この間なんて、高温注意報?が出たとか何とかで、部活が中止になった。
「あーあ、部活は一番のチャンスなのに…。」
そう、チャンスとは、、、
『『『キャーーーーー!剛貴くぅーーーーんっ!!!』』』
これこれ。
わが学園1モテている、テニス部のエース、赤里剛貴(あかさと・たかき)君です。
部活をやっているときに、追っかけの子達は、殆んど見に来るのです。
ちなみに私、堂本薫(どうもと・かおる)は剛貴君のことが大好きです!
もう、大大大大大大ぢあ、、、噛んじゃった。
気を取り直して、、、大大大大大大大大好きなんです!!
「はあぁ~、今日もかっこいい。」
でも、やっぱり学園1モテるから私に望みはないわけで…。
だからといって、諦めたくもない!!
と、言うわけで、ストーカーみたいになってるのです。。。
「剛貴君、、、モテてるなぁ。」
私がここで、『剛貴君、かっこいい~~~~!!大好きぃ~~!』なんていったら、ここにいる女子達に集団リンチされるよぉ!
「。。。教室いこう。」
私は、剛貴君を見るのをやめて、教室へ向かうことにした。
あ、そうだった。
私、剛貴君と同じクラスでした♪
「えへへ…これだけは、誰にも譲らないぜ!!」
と、声に出して言いながら心の中でガッツポーズ。
逆かな?なんて思いながら自分の席に座る。
「おい、薫!!」
「え?」
席に着いたら、後ろから声がした。
「ん…莉紅じゃん。」
私に声をかけてきたのは、幼馴染の弧名嶋莉紅(こなじま・りく)。
「おはよう、薫。今日もあいつのこと見てきたのか?」
「おはよう。」
“あいつ”とは、剛貴君のことだ。
「そうだよ~。っていうか、剛貴君をあいつ呼ばわりするなぁ!!」
「。。。あっそ。」
ちょっと怒ったように言うと、興味をなくしたように離れていった。
「?」
わかんない奴。
ガラガラッ。
そんな時、教室の戸が開く音がした。
「おはよー☆」
―――た、剛貴君キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
「「「おはよう!!」」」
一気に、剛貴君の周りに人が集まる。
うわぁ、私も混ざりたい!!
「おはよう、みんな。今日も朝練見に来てくれてたよね。ありがと。」
「うん。剛貴君、大会も近いし、がんばってね!!」
―――うわ~、うらやましい。。。
私は、剛貴君に話しかけることはせずにじっと見つめていた。
女の子達がすッごく楽しそうに剛貴君と話している。
「ぃぃなぁ。。。」
「赤里がか??」
「うえぇええぇっ!?」
「は、何?俺は、吐くほど嫌われてるんですか??」
「い、いや、違うの!!」
いきなり話しかけられて、びっくりしただけ。
「いきなり話しかけないでよ、もう。」
「ああ、悪ィ悪ィ。」
「謝罪の気持ちが全然伝わんないんですけどぉ。」
私は、莉紅に軽蔑の目を向ける。
「おい、その目ひでェよ!!やめろぉ!その目で俺を見るなぁ!!(泣)」
そしたら、莉紅が逃げ回るもんだから、ついつい面白くなってずっと観察していました☆
その様子をまじまじと見ている人が居たことにも気付かずに。