視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


「長田さん。香里奈が【黒い靄】に取り込まれる時、その【黒い靄】が言ったんです。『願い事。叶えてあげるよ。』って…。」


「…という事は、取り込まれる前に何かを願ったんだね…。尚子さんと清隆さんは、何を願ったのか覚えていますか?」


その問いかけに、おばさんと大輔は首を横に振った…。


「…そうですか…。」


自分が話し出した事なのに、私は違和感を感じたんだ…。

だって…


「…な…長田さん。」


「…何だい?」


「…香里奈は…『願い事なんかない』って…言っていたんです…。」


「………。」


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