視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
長田さんは溜め息をつきながら、
『これでは”願い事”の基準が分からないな…』
と言った後、
『最後に、もうひとつ教えて下さい。』
と言って話し出した。
「取り込まれた後、どうされたんですか?」
長田さんがその質問をした直後、おばさんは、
『うぐっっ…!!』
と声を漏らして、口を両手で押さえながら部屋を飛び出して行った。
「尚子?!どうしたんだ?!」
と叫んだおじさんは、おばさんを追い掛けて部屋を出て行ってしまう。
その時、大輔は苦し気な顔をしながら、
『…無理もありません…。』
そう言った後、突然、意識を手放したかの様にソファーに倒れ込んだ。
「大輔っっ?!どうしたの?!大輔!!」
リビングには、私の声だけが響いていた…