視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
混乱していく記憶
大輔が倒れ込んだ後、必死に大輔の名を呼ぶ私に長田さんは肩に手を置いて、大輔に近寄り首筋に指を当てた。
「…大丈夫だよ。…気を失っただけの様だ。」
そう言った長田さんの言葉に、私は胸を撫で下ろした…。
その後、長田さんは立ち上がって、
『大輔君と、そこに居なさい。私は、奥さんを見てくるから…。』
と言葉を残してリビングを出て行ってしまった。
「…大輔…。…何があったの?」
そう小さく言葉にして、倒れこんだ大輔の頭をそっと撫でていた…