視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
大輔が居なくなった事の不安。
執拗な繰り返される質問。
何も出来ない自分への不満。
きっと私は疲れているんだ。
だから、訳の分からない事を知らず知らずにしていたに違いない。
そう思うようにして、椅子に座ったまま後ろにのけ反り天井を見上げる。
ふと、視界の端に何かが見えた気がした。
視点は天井。
だけど、左側が気になり意識がそっちに集中する。
左側の壁にはカレンダーが掛かっているだけ。
それなのにカレンダーの直ぐ脇に、黒いボヤっとした丸い物が見える気がする…。
心臓がバクバクと早鐘を打ち出した。
だって…
大輔も【黒っぽい物】が見えるって言っていたから…。