視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~

大きく深呼吸して、ドアノブに手を置く。


「だっ…大輔?部屋、入るからね?」


と、おどけて言いながらドアを開き、部屋に足を踏み入れた。

ベッドには、タンクトップにトランクスを履いただけの大輔が寝転んでいた。


「うひゃああっっ?!」


初めて目にする大輔の姿に、私は顔を両手で覆い隠した後、回れ右。


何やってんのよ?!
ちゃんとパジャマくらい着なさいよ!!
せめて、掛け布団くらい…!!


と、心の中で文句を垂れていた私の背後から、腕が伸びてきた。


--- グイッ!!


「んなっっ?!…ちょっ?!だい…っっ?!」


--- チュッ…


「…ふぇっ?!」


< 110 / 252 >

この作品をシェア

pagetop