視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
目の前には、大輔の顔。
驚く私を楽しそうに見下ろして、ケタケタと笑っている。
今…
いったい、今…
何をしたの?!!!
私は顔を真っ赤にしながら、ワナワナと怒りに震えて、大輔に向かって怒鳴り散らした。
「何してんのよ?!ファ…ファーストキスだったのに!!!」
私がそう叫ぶと、大輔はキョトンとした顔をして、
『は?何言ってんの?』
と言って、話し出した。
「去年のX'masがファーストキスじゃん?」
「は?そっちこそ何言ってんの?」
そもそも、大輔の気持ちは知れたとはいえ、告られてもいないし、私だって告ってない。
ましてや、付き合ってるだなんてあり得ない。
困惑しながらも睨み付ける私に、大輔は呆れ顔をして話し出したんだ。
「香歩。お前、起きながら寝ぼけてんのか?」