視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~

学校に着いてから、また私は違和感を感じた。

昨日まで、大輔が行方不明で登校していなかったのにも係らず、誰一人としてそんな事は言わなかったんだ。


「学校でも、同じなんだ…。」


そう小さく呟いて、私は大輔と廊下を歩く。

教室に向かう途中、大輔のクラスの前で山田先生とすれ違った。


また振り向き様に、何か言われるのかな…
何で私はタイミングが悪いんだろう…


でも、身構えて待ってみたけれど、山田先生は何も言わずに教室へと入っていく。


「香歩?何してんだ?お前のクラスはあっちだろ?」


と、二つ先にある私のクラスの方を大輔は指差した。


「あ…うん。またね?」


「おう!」


そう言って、大輔は笑顔を向けながら片手を上げて教室に入って行った後、大きな声で
『はよーっす!!!』
と、クラスメイトに話しかけていた。


もう…何が何だか分からないや…


そう思いながら、私は自分の教室に足を進めた。


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